因数分解の問題は、結局は「式の展開」(乗法公式)の逆をやればいいのですが、どうしてもそれがうまく出来ないという生徒は、「確定しているところまで( )を埋める」という方法を使うといいでしょう。
例えば、4x2 -4xy +y2 という式を因数分解する場合を例に説明すると、
→ ( )( )
②二乗にならないといけない文字(と文字のない数)は、両方の( )に入るはずなので、その文字(や数)を埋める。
→ ( x y )( x y ) *こうしないと、展開した際にXとYが二乗にならない
③間に入る記号と、文字の前につく数を、頭の中で式を展開しながら埋める。
→(2x y)(2x y) *こうすれば、[2x × 2x]で4x2となり、yもy2となる
→元の式のy2が+なので、yの前の記号は [+ +] か、[ – – ]となる。
→(2x+y)(2x+y)だと、マイナスが一切現れず、-4xyの部分が成り立たない。
→(2x-y)(2x-y)は、(2x-y)2のことなので、(2x-y)2が正解。
という手順になります。
他にもいくつか例題を挙げて、解く手順を示しておきます。
e.g.1. 4x2+12xy+9y2
②( x y)( x y) *展開した際、X2とY2ができる
③-1 (2x 3y)(2x 3y) *展開した際、4X2と9Y2ができる
③-2 9y2の前が+なので、あり得る符号の組み合わせは、[+ +]か[- -]
→12xyが+なので、[+ +]が正解 (これが分からなければ、両方試せばよい)
→(2x+3y)(2x+3y)は、(2x+3y)2と同じなので、正解は(2x+3y)2
【→確認: (2x+3y)2 = (2x+3y)(2x+3y) = 4x2+6xy+6xy+9y2 = 4x2+12xy+9y2】
e.g.2. 4x2-9y2
②( x y)( x y) *展開した際、x2とy2ができる
③-1 (2x 3y)(2x 3y) *展開した際、4x2と9y2ができる
③-2 9y2の前が-なので、あり得る符号の組み合わせは、[+ -]か[- +]
→この問題ではどちらでも同じ
→(2x+3y)(2x-3y)または、(2x-3y)(2x+3y)が正解
他のパターンでも同様に進めれば、乗法公式を使わなくても解ける。
ただ、これが乗法公式を使うよりも楽とは限らないので、いずれかのタイミングで乗法公式を使って解けるようにした方がいいでしょう。
e.g.3. xy-2x+3y-6
②(x )(y ) *展開した際、xyができる
③(x )(y-2) *展開した際、-2xができる
④(x+3)(y-2) *展開した際、3yと-6ができる
この問題は乗法公式では上手く解けないパターンですが、「埋められるところから埋めていく」という方法で進めていけば、すぐに解けます。
乗法公式では上手く解けそうにない問題はこのような方法で解く、といった使い分けをするのが一番いいでしょう。