ある静岡県東部の塾講師のページ

英語 – 大学受験


・英単語

 記憶の定着と維持を考えると、やはり『速読英単語』が一番良いでしょう。

 また、受験で失敗する生徒は、英文への慣れが圧倒的に足りていない場合が多い
 長文をある程度以上速く正確に読めないと、受験ではお話にならないので、単語を覚えながら英文への慣れを得られるという点でも、この『速読英単語』は良い教材です。

 ただ、全く英単語の知識がない段階で『速読英単語』を始めると、かなり効率が悪いので、英単語の知識が著しく欠けているという生徒は、他のいわゆる「単語帳」を使って、基本的な単語だけでも(書き取りなどせず一気に)覚えてから、『速読英単語』に取り掛かるようにした方がいいでしょう。
 (英文法・構文の基本的な知識も必要なので、それらを押さえていない生徒は、先にそちらも済ませること。)

 その際に使う単語帳は基本的に何でもいいですが、『百式英単語 最速インプット→2023』の単語暗記法は大いに参考になります。
 (「英単語の覚え方」のページでも取り上げています)

 

 なお、速読英単語は、高3の夏休み前までに「少なくとも」4周はしておきたいところです。

 そして、夏休み以降に、『話題別英単語 リンガメタリカ』などをやっておくといいでしょう(もちろん、余裕があれば前倒ししても構いません)。


 正直、速読英単語だけでも足りる大学は多いでしょうが、様々な内容の英文に慣れておく(=ストックを増やす)ことが受験では重要なので、ある程度以上のランクの大学を狙う生徒であれば、やっておいた方がいいです。
 (「文章のストック」については、「英語長文問題」の項目や、「子どもに読書をさせるべきか」のページを参照)

 


・英文法書

 高校受験では英文法書が必要でなかった生徒がほとんどだと思われますが、大学受験では1冊は用意しておくべきです。

 高校で買わされたものがある生徒についてはそれを使えばいいですが、もし持っていない(あるいは、レベルが著しく低いものしか持っていない)生徒がいれば、『総合英語Forest』あたりを持っておくのがよいでしょう。

 
 また、『一億人の英文法』もお薦め。
 英語の発想がよく分かり、英語への理解を深めるのに役に立つ本です。

 ただ、いわゆる「文法書」の使い方はしづらい。3年の始めくらいまでに一気に”通読”した方がいいでしょう。


・英語構文、文法、語法

 英語の構文と文法については、構文→文法の順でやった方がいいでしょう。
 (ここでいう「構文」は文章の構文的理解の意味でなく、例文を用いた文法学習程度の意味)

 

 構文の参考書については、『セレクトプラス英語構文76』内容量に過不足なく、出来が良いです。


 ただ、レイアウト等が地味
なので、ある程度華やかさのようなものが欲しければ、Z会の『英語構文必修101』などを使った方がいいでしょう。


  なお、構文については、理解した上で暗記するのが基本です。
 出てきた構文全てを1度に覚える必要はないですが、基本的な構文は確実に覚えながら進めてください。

 

 英文法の問題集については、『全解説頻出英文法・語法問題1000』と、『基礎英文法問題精講』がお薦め。


 ただ、実際にやるのは『全解説頻出英文法・語法問題1000』の方だけでいいでしょう

 というのも、『基礎英文法問題精講』は確かに「英文法問題の問題集」としては優れているのですが、「語法」などの問題に弱く、結局は別の問題集で補う必要があるのです。ならば、最初から語法の問題までカバーしている問題集をやった方がいいでしょう。

 そして、何冊も手を付けずに、『全解説頻出英文法・語法問題1000』を何周か繰り返す。そうすれば、文法・語法問題については、様々な大学の過去問を解けるレベルにまで到達できるはずです。

 

 『基礎英文法問題精講』については、(英文法問題を解く際の)文法書として非常に使い勝手が良いので、余裕があれば手元に置いておくことをお薦めします
 

 なお、『全解説頻出英文法』と同様の問題集に、即戦ゼミのシリーズ(『大学入試英語頻出問題総演習』など)があり、そちらの方を学校で使わされている生徒も多いでしょう。
 しかし、即戦ゼミのシリーズは確かに問題は充実していますが、解説が少なく、また、体系性の点でも少し劣っており、自学習で使うには効率が悪い。自分で学習を進める際には、『全解説』のシリーズの方が良いでしょう。

 ただし、「受験前の演習」には、即戦ゼミのシリーズも役に立ちます。それは、問題の種類が多いため、受験する大学で出題されている珍しい形式の問題も載っている可能性が高いからです。
 なので、『全解説頻出英文法』に乗り換えても、即戦ゼミのシリーズは捨てずに取って置きましょう。 

 


 ・英文読解

 基本的な文法事項を押さえたら、次は英文読解の参考書にあたる必要があります。というのも、英単語と英文法をそれなりに理解し、覚えていても、それだけでは英文を読めるようにはならないのです。

 これはひとえに、実際の文章においてどのような形で、それまで学んだ英文法が実際に使われるのかが、まだ理解できていないために起きます。そのため、実際の英文でどのように各文法、表現が用いられているのかを、経験しながら理解するために、英文読解の参考書が必要なのです。

 
 さて、英文読解の参考書は、文の構造が分かるように各要素を切って、その繋がりを解説する形になるのが一般的ですが、各要素を切っただけで、ロクに解説をつけずに終わりなものも多い。

 そのようなものをこなしても、元々十分な英文法への理解と、英文の慣れがある生徒を除けば、英文を実際に読めるようにはならないので、そのような参考書を選ばないよう、多くの生徒は気をつける必要があるでしょう。

 
 そこで私が薦めるのは、『ポレポレ英文読解プロセス50』『英文解釈の技術100』です。基本的にどちらか1冊でいいと思います。

 
 単語の知識もそれなりにあり、英文法も各単元はそれなりに理解しているはずなのに、英文が読めないというタイプの生徒には、『ポレポレ英文読解プロセス50』がいいでしょう。

 この本のいいところは、S+Vの理解→句・節の把握→準動詞の主語→挿入の把握といったように、基本的なことから順にステップを踏んでいくところにあります。
 また、(大学受験の)英文を理解するのに必要な事項は十分に押さえているでしょう。
 
 
 文法事項はある程度理解しており、英文も多少は読めるという生徒には、『英文解釈の技術100』をお薦めします。

 ポレポレが50の例題の中で、様々な文法要素を解説するスタイルなのに対し、こちらは、100の例文それぞれで1つの文法要素を解説するスタイルとなっています。
 既にある程度文法事項を理解しており、ある程度英文も読める生徒には、こちらのスタイルの方が効率的でしょう。また、100の要素をこなしておけば、大抵の受験英文には対応できます。

 

 なお「高校レベルの英文はおろか、中学レベルの英文も読む自信がない」という生徒は、「英語(高校受験)」のページで採り上げている『実戦!英語長文はこう読む!!―高校入試』を使い、英文理解の基礎の基礎を身に付けるとよいでしょう。

 案外、大学受験生でも「英語は頭から理解するのが基本」ということが分かっていない者が多いので、少しでも自信がなければ、早めに取りかかってください。

 

 演習用の教材としては、『基礎英文問題精講』がお薦め。

 私は大学受験時にこの本を使用したため、担当生徒の授業でも当初はこれを使っていたのですが、多くの生徒が「難しすぎる」と言うので授業で使うのはやめました。

 確かに、英文のレベルも少し高いかもしれませんが、彼らが難しいと感じたのはおそらく、例文の解説が少ないにも関わらず、情報量が多すぎるためでしょう。
 どういうことかと言うと、この本は、例文で登場する重要な文法要素の解説の情報量は多いのですが、例文自体の解説は少ないのです。なので、文章読解の1冊として使うには確かに辛いと思われます。

 逆に、2冊目に使うには、かなり優れた本なのです。

 この本の良いところは、情報量が多い点ではなく、問題の豊富さにこそあります
 1章「構文編」の章末には40の練習問題、2章「文脈編」の章末には19の練習問題があり、そして3章は「応用問題編」で文字通り応用問題が並んでおり、その章末にさらに20の練習問題があります。その上、最後に「頻出重要テーマ演習編 典型例題30」までついている。これだけこなせば、まず大抵の受験英文の読解で苦戦することはないでしょう。そのため、「演習用の教材」としてのお勧めとなるのです。

 

 なお、ここで取り上げていない『英文解釈教室』などがダメというわけではありません。

 例えば、確かに『英文解釈教室』は優れた英語参考書であり、大学生以上にも読む価値があるほどだと思いますが、如何せん文量が多い。

 受験で使用する科目が少ないことが早い時期に”確定”していたり、高校1年時点くらいから受験を見据えた多少ハードな勉強を行うのであれば、『英文解釈教室』はお薦めできるのですが、そうでないケースでは、負担が大きすぎるように思います。

 「手をつけたものの、教材を1周さえこなせない」という状況が、何の学習においても最悪です。自分の状況をよく考え、十分に英語の学習に時間を割くことができ、意欲も十分にあり、そして、基本的な英語知識はあるという場合には、『英文解釈教室』などを選んでもいいでしょう。

 


・英作文

 構文の学習において、基本的なものを理解した上で暗記していれば(作れるようになっていれば)、それだけで多少は英文を作れるようになっているとは思いますが、それだけでは実際に受験で出題される英作文の問題には対応しきれません。

 それは、まだ「自分で条件・状況にあった英文を作ることを経験していない」ためであり、また、「英文のストックが足りない」ためでもあります。英作文の対策には、既にある知識の運用と、英文のストック数を増やすことの”両方”が必要なのです。

 
 さて、以上を踏まえてまず私が英作文の教材として勧めるのは、『頻出英作文』です。

 この本では1章が「暗唱文編」(各単元の文法を使った基本的な例文と、その解説)、2章が「基本問題編」(受験問題)、3章が「発展問題編」(テーマごとに分けられた受験問題)という作りになっていますが、1章の暗唱用の基本的な例文と2章の問題とかそれぞれ対応している点と、2章・3章で解答例が3パターン示されており、内1つは米人訳となっている点が優れています

 1章を使う場合には、1つの単元(例文10個)を確認したら、すぐにそれと対応する2章の単元(受験問題10問+α)に挑戦するという手順を取れば、スムーズに受験問題に慣れることができます。
 また、1章を使わずに、2章から始めても、文法事項ごとに単元が区切られているので、取り組みやすいでしょう。

 なお、2,3章の問題は、いきなり答えを見ず、一度自力で英文を作ってみてください。

 
 また、この本に登場した英文は、必ず暗記しておいてください2,3章の英文は3つずつありますが、自分が気に入ったもの、よく見かけるパターンのものを1つ覚えておけば構いません
 始めに書いたように、英文のストックを増やしていくことも英作文では重要であり、また、2,3章は全て受験問題なので、きちんと覚えておけば、ほぼそのままの英文を書けば済むだけのことも多いのです。

 

 『頻出英作文』をこなせば、ほとんどの受験生は過去問演習に移ればいいでしょう。(3章の内容までは必要ない生徒もいるでしょうから、3章に入る前に過去問を確認し、3章の内容が自分に必要かどうかを判断してください。)
  

 「もっと英文ストックが欲しい」という生徒向けの補完用の教材としては、『英作文の栞』をお薦めします。

 この本は、暗記することを前提に選出した620の英文が並べられています。
 全てを覚えれば、英作文への対応力が付くだけでなく、英文読解の力なども身に着くと思いますが、無理に全て覚える必要はありません。この本には索引も付いているので、自分が覚えたい表現の例文を探し、それだけ覚えていくような使い方も可能ですし、その方がいいでしょう。

 (ただし、一切解説はないので、その点には注意してください。また、在庫切れの場合も多いです。346円と安い教材なので、その時点で使う予定がなくても、在庫がある時に買っておくことをお薦めします)

 


・英語長文

 担当生徒に「(自学習用の)英語の長文問題集は何を使えばいいですか」とよく聞かれるので、一応、英語長文問題集のお薦めも挙げておきます。

 ただし、英文読解の教材をこなしていない(能力が十分に身に着いていない)生徒は、長文問題をやってもあまり意味がないので、先に英文読解の教材にあたってください。長文問題の英文を全く読めなければ、やっても意味がないのは明白です。

 
 さて、私の一応のお薦めは、『頻出英語長文』になります。

 この教材は、長文問題集の中ではかなり解説が詳しいため、自学習を行う際には大いに助けになると思います。
 (なお、同シリーズに『頻出基礎英語長文』があります。志望校のレベルがあまり高くない場合はそちらを使ってもいいでしょう。)

 
 また、『速読英単語』『話題別英単語 リンガメタリカ』を使わない生徒で、且つ新聞や教養・学術系の新書、文庫などを全く読まない生徒は、「よくある話」や「よくある議論」のストックが足りないために、英語の長文の内容が予想できず、また、掴みきれないことが多いです。

 そのため、そういった生徒は、『やっておきたい英語長文300』と、『やっておきたい英語長文500』などで多く英文を読み、話のストックを増やす必要があるでしょう。

 ただ、『速読英単語』や『リンガメタリカ』は使わないという”信念”がない限りは、やはり、『速読英単語』『リンガメタリカ』を使った方がいいかと思います。

 ちなみに、大学受験で使われる英文というのは、話の内容自体はありきたりなものが非常に多く、ストックが十分にあれば、内容把握の問題については読まずとも解けることも多い。
 これには理由があり、大学入試等の多くの人が受け、また、受験生以外の者にも後に公開することがあるようなものは、一般的でない内容の文を使うと問題が起こりかねず、当たり障りのない文を使わざるを得ないためなのです。

 なお、話のストックの量は、英語の長文問題に限らず、国語の現代文の問題の得点にも同様に関係してくるので、受験においてはかなり重要な要素となります。それを意識して受験勉強を進めるとともに、少なくとも新聞くらいは読んだ方がいいでしょう。
 (「話のストック」については、「子どもに読書をさせるべきか」の項目や、「文章問題(国語・英語)のコツ」の項目を参照)

 

 
 長文問題集のお勧めは以上のようなものになりますが、しかし、ここで1つ助言しておきたい。

 それは、受験生はもっと過去問で演習をしろ、ということです。

 あくまで受験生の目標は、志望校への合格でしょう。それなのに、志望校の過去問を十分にこなしている生徒が驚くほど少ない。

 基本的に、どの大学も出題の形式、そして出題されるもののレベルは毎年”大体”同じです。出題形式がよく変わるような大学であっても、10年分くらい見ておけば、その中に同じような形式が出された年があることが多い。だから、過去問の十分な演習は、実際の受験での結果に直結するのです。

 それに、過去問の演習を十分に行わないと、合格のために現状何が足りないのかが分からない。それが分からなければ、その後の努力は無駄な努力になりかねない。実に恐ろしいことです。

  また、英語に限らず、大学受験にも限らないことですが、試験が控えている状況(受験することがほぼ確実な状況)において、早めに受験問題にあたっておくことは、「解けない」→「困った」という思考プロセスを経験し、それにより勉強への意欲を刺激するためにも重要です。人間、「困る」という経験をしなければ、苦労をしてまで勉強などの努力をしようとは考え辛いものでしょう。

 だから、受験生は、もっと過去問の演習を行ってほしい。
 
 もし、やってみて手も足も出ないというのなら、それを踏まえて、英単語の補強、英文読解の訓練などを行いながら、また過去問に挑戦していくこと。そして、過去問にある程度対応できるようになったら、過去問にウエイトを移して、勉強を行っていってほしい。

 して、10年分くらい過去問を解き、その後は、過去問の傾向から、押さえておいた方がいいと考えられる事項を別の教材で押さえていく。そうしておけば、少なくとも過去問の演習を行った大学の受験はうまくいくはずです。

 もちろん、そのためには早めに過去問に取りかかる必要があります。

 多くの生徒は尻込みするでしょうが、先延ばしにすればするほど、演習量と自分の弱点の発見という点でマイナスになります。受験当日に解ければいいのだから、過去問を恐れる必要はありません。

 
 正直、長文問題の”演習は”(”読解の学習”別物としてやらなければならない)、センターの過去問と志望校の過去問だけでも十分だと私は思います

 特に、センターの過去問は、出題の形式や難易度から、長文の演習にピッタリです。

 ほぼ全ての生徒がセンターの英語は受けるでしょうから、センター対策の意味も込めて、早めにセンターの問題に取りかかり、できるだけ多くこなしてほしい。下手に長文問題集をやるよりは、効率的なはずです。

 なお、センターの過去問題集は、自分が好きなものを選べばいいでしょう。
 私は、外見と掲載年数の多さ、解答冊子が取り外せる点などから河合のものを購入していますが、別に数学社の赤本などでも構いません。ただ、駿台の青本は解説はよいかもしれませんが、10年分しか掲載がないので足りないでしょう

 

 最後に、(あまりいないと思いたいですが、)もし英語長文に全く自信がなく、センター試験の長文でさえ苦戦するようであれば、公立高校入試の問題などを使って、”英文と長文問題への慣れ”などを得るとよいでしょう。
 実際、私が英語長文問題をまったく解けない担当生徒を受け持った場合には、公立高校入試の過去問から入るようにしています(そして、かかった時間や正答率、内容の口頭での要約の可否などで、その時点での能力を推定する)。

 

 使用する場合には、とにかく「一気に、大量に」こなすこと。

 英語の長文問題については、大学入試に限らず何の試験であっても、出題形式のパターンはそれほど多くありません簡単な英文で演習をこなすことで出題形式に慣れるだけでも、得点率が上がる可能性は大いにあります
 また、「英文が読める」「問題が解ける」という”感覚”を経験することも、その後の学習においては非常に重要です。
 
 なお、公立高校入試の長文問題さえ完璧には解けない状態であれば、素直に中学英語からやり直すこと(おすすめの教材/英語(高校受験)のページを参照)。

 英語も当然言語であるため、(日本人が日本語を身につける場合でさえそうであるように、)急に使用能力が上がることはありません。
 「(日本の)小学生レベルの文法知識や語彙、例文のストックがない外国人が、いきなり日本語の書籍を読んだり、映画を観たりすることはできない」ということは、容易に想像できるでしょう。それと同じことです。言語の学習は、段階を経るしかないのです。


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